初めて台南の文鼎蓄音機博物館で講座を開催し、Muro Boxを手に、音楽と機械を愛する皆さまとお会いしました。9年間にわたる起業の歩み、技術的な挑戦、そして私たちが今日まで信念を持って続けてきた道のりをお話ししました。
今回の活動レポートでは、特に印象に残った来場者のエピソードや、文鼎蓄音機博物館の貴重なコレクションから学んだことについてもご紹介しています。


館員の儷齡さんによる専門的な解説のおかげで、わずか30分の空き時間でも200年前の大型機械式オルゴールを素早く見学することができました。
Muro Boxの現場での3台のサンプル機展示準備中、文鼎のスタッフは私たちの要望を丁寧に聞き、会場の設営をサポートしてくれました。さらに積極的に撮影や記録も手伝ってくださり、おかげでイベントがスムーズに進行しました。感謝いたします。
また、文鼎留声博物館の前館長ジェリー氏にも感謝申し上げます。彼は控えめで親しみやすい方で、私たちのプレゼンで紹介したターンテーブル式オルゴールや蓄音機などの初期自動演奏楽器の歴史について興味を持ち、自ら所蔵のターンテーブル式オルゴールを皆に聴かせてくださいました。(残念ながら、その場は皆聴き入ってしまい、写真や映像の記録はありませんでした)
今回初めて、Muro Boxとコレクションレベルのクラシックオルゴールを直接比較する機会がありました。最も印象的だったのは、クラシックオルゴールの音量が場の雑談を圧倒するほど大きかったことです。以前、台中の現代音楽鈴博物館で見た日本Nedicブランドのオルゴールは、ここまでの音量はありませんでした。この違いは共鳴箱によるものか音櫛によるものか、音量を抑えた日本ブランドの音の背後にある意図は何か、考えさせられました。この経験から、今後のMuro Boxのモデルでは音量調整に取り組む決意を新たにしました。

前半は共同創業者の蔡筱晨による講演:「オルゴール大解明」
私はオルゴールの歴史の進化について話し始め、西洋から東洋へ伝わった伝統的な機械式オルゴールが台湾でどのように産業として発展したかを皆さんに紹介しました。また、オルゴールのムーブメントの構造を分解し、各部品の設計の工夫や、メロディーと速度を決定する音鈴の核心原理についてわかりやすく解説しました。
後半はMuro Box発明者の馮振祥が担当:「スマートオルゴールの起業の歩み」
多くの方から「なぜオルゴールを作るのか?」「工場に任せればいいのでは?」と質問をいただきます。この講座では、これまで外に話したことのなかった経験をお話ししました。突然連絡が取れなくなった外注エンジニア、予算に怯んだ設計会社、さらには木工所での冷たい対応など……。どんな困難や失敗も、私たちは歯を食いしばって乗り越えてきました。
遠くからお越しいただき、私たちとご縁を結んでくださった皆さまへ感謝
台北、台中、高雄からわざわざ南下してくださった皆さまに心より感謝申し上げます。皆さまの熱意、好奇心、そしてたくさんの質問のおかげで、この南下の旅は特別な意味を持つものとなりました。
ある祖母と孫の親子は台中から電車で特別に台南のMuro Box試聴会に参加してくださいました。申込時に視覚障害のあるお年寄りを同行すると教えてくださり、なぜ私たちを見つけてくださったのか気になっていましたが、昔ながらの楽器で指定の曲を80歳の長寿祝いに演奏したいとのことでした。記憶障害や軽度の認知症がある方でも操作しやすいこと、聴力が弱い方のため音量調整ができることを希望されていました。
また、高雄左営から猛暑の中バイクで駆けつけてくださった黄さんは、長年ネットで当社製品を知り、南部でのイベントで実物の演奏を初めて見られることを楽しみに早くから会場にいらっしゃり、多くの操作方法について質問されました。
さらに、早くから現地にいらしたシルバー世代のご夫婦は、遠く台北から電車で台南までお越しくださいました。亡きお父様が作曲された多くのギター曲を、楽器が弾けないながらもMuro Boxで編曲し何度も聴きたいという願いを叶えるためです。実は彼らは台湾ギターの先駆者・呂昭炫先生のご子息とお嫁さんでした。


また、文鼎蓄音機博物館の館長と運営チームの皆様にも心より感謝申し上げます。講演の合間に貴重な館内ツアーをご提供いただき、さまざまな蓄音機の構造や共鳴デザインについて深く学ぶことができました。これらの観察は、今後より音色表現力に優れたオルゴール製品を開発するための大きなインスピレーションとなります。
今回のイベントに参加できなかった方も、どうぞご安心ください。今後お時間のあるときに、ぜひ新北・三重にある私たちのオフィスへお茶を飲みにいらしてください。製品の試作モデルをご覧いただきながら、語り尽くせなかったオルゴールの物語や、「自分の夢を叶える」から「誰かの夢を叶える」へと進んだ私たちの起業の旅について、ゆっくりとお話ししましょう。