インタビュー中に、オルゴール産業が衰退に至った原因は、「中国の低価格競争・著作権に関する紛争」だと黄部長が述べました。酷鳩科技は数年にわたりオルゴール産業に携わってきたので、ここでは私たちの見解を補足して説明します。
まず、低価格競争は重要な要因ですが、衰退の主因だと認めません。価格の下落により全体的な出荷量が増えるはずですが、統計データによると、中国を含めた世界中のムーブメントの年間出荷量が、一億台から4000万台に減少しているということが判明しました。つまり、ほかの要因があるからこそ購入する人が少なくなり、価格が安くなってもこの傾向を変えようもなかったのです。
次に、私たちも著作権紛争が遠因だと考えています。情報技術の発展により、音楽の流通が実現され、音楽ジャンルや曲に対する好みもより多様化しています。音楽のライセンスを取得するコストが年々上昇していないにもかかわらず、好みの異なりにより、お客様が自分の好きな曲をオルゴールで見つけることもますます難しくなっています。さらに、価格の下落により、ムーブメント工場が音楽ライブラリを拡充する資金を確保することが難しくなり、悪循環に陥ってしまいました。
したがって、衰退の根本原因は、音楽ライブラリの拡充が時代に追いつけないことだと考えています。しかし、一曲をカスタマイズするには、一体コストがどのくらいかかるでしょうか?協櫻に尋ねたところ、コストは約NTD $25000(JPY $12万)だということが分かりました。(為替レート:NTD $1:JPY $4.85)
この値段にはムーブメントのシリンダー設計費・金型費・製作費・編曲費用は含まれていますが、著作権料は含まれておらず、しかも完成品がわずか15秒の音楽です。
技術的な視点から見ると、納得できますが、この値段は普通に受け入れられるわけではないことが明らかです。協櫻に尋ねたところ、会社の記録では、NTD $25000(JPY $12万)を支払ってカスタマイズされたオルゴールを入手したお客様が、結局一人しかいなかったそうです。(為替レート:NTD $1:JPY $4.85)
お客様が自分の好きな曲をオルゴールで入手できるよう、合理的な価格設定はムーブメント産業における主要な課題だと考えています。だからこそ、Muro Boxの開発を通じて、この問題が解決できればと思います。
現在、Muro Boxが2バージョン展開されました。半分以下の価格で、機械式オルゴールでお好みの曲が再生できるようになりました。自宅の小型自動ピアノのように、アプリを通じて好きなメロディーをオルゴールに入力すると、Muro Boxがあなたの作成したメロディーをそのまま演奏してくれます。音楽ソースは自作または自分で入力したメロディーですので、伝統ムーブメントにおける著作権・ライセンス問題や金型のハイコストなどの悪循環から脱出することにようやく成功しました。