オルゴールで刻む、あたたかなご縁
母の人生最期の道のりに寄り添った、緩和ケアの思い出
老翁(台湾)
オルゴールで刻む、あたたかなご縁
母の人生最期の道のりに寄り添った、緩和ケアの思い出
老翁(台湾)
文章が長くて読みきれない方のために、Podcast版をご用意しました。一人の孝行息子が、母とともに十年にわたる在宅緩和ケアの道を歩み、Muro Box のカスタムオルゴールを通して、医師と看護チームの皆さんへ感謝の想いを伝えるまでの心の軌跡を、耳でお楽しみいただけます。
本ポッドキャスト音声はAIによって生成されたものであり、固有名詞の読み方や数値の詳細に誤りが含まれる可能性があります。記事の大意を素早く理解するための参考音声としてご利用ください。詳細を確認されたい場合は、ブログ全文をお読みいただくことをおすすめいたします。
私をよく知る友人たちは、皆私のことを「老翁」と呼びます。数年前、私はある病院の在宅緩和ケアを受ける母の家族介護者でした。母とともに人生最後の旅路を歩んだ日々を振り返ると、心に最も深く残るのは、重さや悲しみではなく、ただひたすらな感謝の気持ちです。
母が温かさを保ちながら過ごせたことに感謝し、安らかで慣れ親しんだ住まいを提供してくれた家主に感謝し、さらに病院の在宅緩和ケアチームの専門性と寄り添いに感謝しています。そのおかげで私は安心して集中し、私を生み育て愛してくれた母に寄り添い、母が尊厳をもって人生の最期を歩む姿を見届けることができました。
温かなケアの中で生まれた思い出とインスピレーション
この十年間の介護の道のりで、私が学んだのは単なる「世話」ではなく、「寄り添うこと」でした。在宅緩和ケアのおかげで、母が人生の最期の旅路を歩むその時間を、もっとも穏やかで心地よい形で共に過ごすことができました。そこには、侵害も、苦しみも、恐れもなく、ただ尊厳と温もり、そして溢れる愛がありました。宋医師や林看護師との出会いと信頼は、もはや医師と患者という関係を超え、今もなお続く、真の「あたたかなご縁」へと育っています。
オルゴールとの出会い:思い出を形にするきっかけ
この温かなご縁をいつまでも大切に留めておきたい——そんな想いから、半年ほど前、私は偶然スマートオルゴールの存在を知りました。これまで心の奥に秘めてきた感謝と思い出を、触れられる形のあるものとして残したいという強い想いがあり、その瞬間、オルゴールこそがその夢を実現してくれる存在だと感じたのです。
オルゴールのプレートに刻まれたレーザー彫刻の文字は、この日々の総括として私の気持ちを表現してくれます。しかし同時に、ひと目で伝わり、なおかつ感情の重みを宿すことのできる図柄を探し続けていましたが、なかなか明確なイメージを見出すことができずにいました。
プレートデザインに込めた想い:メジロの巣が象徴する「寄り添い」
幸いなことに、約1か月前、林看護師との会話の中で、宋医師がちょうど病院の緩和ケア病棟設立周年の記念イベントの準備で多忙にされていることを知りました。その企画には、宋医師ご自身が手描きされた複数のテーマイラストが含まれており、現在最終案をまとめている最中だということでした。そこで私は用途を明かさないまま、宋医師に連絡を取り、公開可能なテーマイラストをご提供いただけないかとお願いし、その中からオルゴールのプレートのレーザー彫刻に使用する図案を選ばせていただくことにしました。
その中の一枚が、瞬間的に私の目を強く引きつけ、心を打ちました。それは、ハートの形をした存在が、巣の中で口を大きく開けて待つメジロの雛に餌を与えている絵でした。その瞬間、私の頭に浮かんだのは、「10年間、一心に注いだ愛のケア」という意味でした。これは、私が早期退職して母の介護に全力を注いだ10年間の歩みと完璧に重なりました。そこで、この絵を選び、図案の下中央には中国語で「有溫度的緣份(あたたかなご縁)」という言葉を配置しました。図案と中国語の言葉はプレートの右側に置かれ、今回のレーザー彫刻デザインにおける「愛の核心の表現」となっています。一方、英文のフレーズも同じく「あたたかなご縁」というテーマを軸に、それぞれ、母と共に歩んだ日々に寄り添ってくれた全ての方々への感謝の気持ちを表現しています。
さらに深い意味
画像提供:https://www.pexels.com/zh-tw/photo/30969836/
その後、私は宋医師に改めてお話を伺い、病院の緩和ケア病棟設立周年のために彼女が描いたテーマイラストの背景には、緩和ケアそのものへの、より深い思索と祈りが込められていることを知りました。
「病院の緩和ケア病棟の外には、小さな庭があります。そこは、心身ともに疲れた患者さんやご家族、医療スタッフにとって、安らぎと自然に包まれる避難所のような場所です。
その庭へと続く木陰の回廊の上では、何世代にもわたってメジロが命をつないできました。巣作りに励み、卵を産み、孵化し、成長し、やがて巣立ち、それぞれが新たな旅へと向かっていく――その姿が行き交う様は、まるで人生そのもののようなのです。」
オルゴール:思い出を宿す温もりの「巣」
画像提供:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Silvereye_nest_feeding_chicks.jpg
まもなく迎える緩和ケア病棟の周年にあたり、「愛」と語るにはあまりに抽象的で、「幸せ」と言うには死と相反し、「別れ」と記すにはあまりに悲しすぎます。そこで、あえて身近で素朴な存在であるメジロを主役に選びました。それは、ごく普通の私たち自身の象徴でもあります。新たな旅路や新しい出会いが新しい命を生み、命は愛によって育まれます。別れはまた新しい始まりをもたらし、この繰り返しは生きとし生けるものの循環を示しています。温もりのある巣が、すべての人生のご縁や共に過ごす時間をしっかりと支え、私たちが出会ったすべての人や出来事への最大の祝福を運びます。すべての出会いに意味があり、すべての思い出が人の心を照らし、すべての魂が安らぎを得られますように。
そう考えると、このオルゴールそのものが、記憶のために存在し、私たちの温もりをしっかりと支える「あたたかな鳥の巣」なのだと言えるのです。
私は、このレーザー彫刻プレートが、宋医師、林看護師、そして私の三人の想いを結集した共同作品であることを、とても誇りに思っています。文字の部分には、宋医師と林看護師からの言葉や手紙に込められた祝福や励ましを融合させ、そこから生まれた「あたたかなご縁」という私の感動の総括を刻みました。そして、口を開けて餌を待つメジロの雛を、そっと支えるあたたかな鳥の巣の絵柄は、母を十年にわたり介護してきた私自身の実感と記憶そのものです。このオルゴールがあってこそ、ようやくこの温かい思いを永遠に留めておくことができたのです。